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衰退へと向かうファッション雑誌の今後と(私的)提案


以前に「ファッションブロガーの仕事と、今の新しいファッションブロガーたち」の記事で
ファッション関連では有名なオピニオンブログ「Tom & Lorenzo」のトムとロレンゾが
「(ファッション業界の中でメディアと)僕たちは、雑誌じゃないし新聞でもない。
だけど、(僕たちブログは)雑誌と同じ規模のユーザーをかかえてるんだ」
動画「How to Make it as A Fashion Blogger」の14’30辺り)
みたいなことを話していました。

彼らはブロガーとして、ウェブ側にいる人たち。
そして、それに対抗(?)している既存メディアの紙媒体の人たち。

そこで、
自分がどこかの出版社で雑誌に携わる何かの仕事をしていたとして。
もし、上司から「雑誌の販売が落ちてるんだが、お前ならこれからどうする?」と言われたらを考えてみました。

きっと
雑誌と言う紙媒体主体の考えではダメだと思います」と応えます。
(ちなみに、上の人の頭が固ければ、何も言いません。)

日本のファッション系のウェブサイトの現状

今の時点で、日本国内において、
ショッピングサイトや、ブログ大手運営会社のファッションカテゴリなどは別として
雑誌を凌ぐファッションサイト(ブログ)は、それほど多くないと思います。

そして、それが個人のブログや、
大手企業の傘下ではない少人数のチームでやっているファッション系サイトとなると、
片手でも事足りるくらいの数になるんじゃないでしょうか?
(もちろん、ファッション分野での話ですが。)

そういう意味では、
現在、雑誌の脅威になるようなファッション系ウェブサイトは
アプリ系などを除き、それほどいないように思います。
強調しますが、「今は」です。
(まだ、見えてないというのもあるでしょう。ビルの屋上から、道に生えた芽は見えませんから。)

スマホの普及と情報の価格破壊

ただ、遅かれ早かれ、雑誌はウェブベースのものに、その多くが淘汰されると思います。
(きっと多くの人が思ってるはずですが)

雑誌のフリーペーパー化、もしくはそれに近い価格の設定をしない限り、
ウェブ上で多くの情報が無料に手に入るうえ
スマホによって、数年前よりも格段にウェブコンテンツを見る(ネットに慣れている)若者が増えてきている今
ファミレスで支払う金額(飲み放題付)よりも高い雑誌を買うという選択肢はないんじゃないでしょうか?

スマホが普及する以前は、多くの女学生や若い一人暮らしの女性は、自分のPCを持っていなかったので、
インターネットは普及していても、実際にインターネットへのアクセスは
限られた範囲(Mixiや携帯ブログなど)でしかしていませんでした。

しかし、今は好きなブロガーを見たり、モデルのブログを見たり
スマホアプリなどで投稿系型のファッション画像を見たり、
必要なら画像検索をしたりと、
無料で手に入る旬のコーディネート例はウェブ上に溢れています。

情報の新鮮さ

ファッションと言う流行に敏感で、鮮度が大事なものは、
リアルタイムとも言える速度を持つウェブ上の情報に勝てないからです。
雑誌に載ってることの多くは、すでにウェブ上で発表されていたりします。

もちろん、記事に関しては
取材や、情報の精査など情報の質という利点はあるかもしれませんが、
取材して、情報の精査が完了して、データという形にして、それを紙に刷って、
そして、納品して、店頭に並べて、という流れがまず遅いのではと思っています。

たとえば、出来たての食パン(賞味期限1週間と仮定)を、いろいろ梱包や何度も検品をしてから出荷をしてたら、
店頭に並べた時点で賞味期限が残り3日しかくなくなった感じです。
パン業界で働く人以外の消費者が、「食パンの賞味期限は、普通だいたい3日」と思っている時代は、それでいいかもれませんが
「あれはもう4日も経ってから売られてるんです。出来たてのパンが、それも安く手に入る方法があるけど?」と言われれば
全員ではないとしても、多くはそっちに行くと思います。
そして、その常識が普及してしまえば、値段がさらに安いなど付加価値がない限り、
賞味期限3日前のパンは買いません。

ファッション雑誌のウェブサイト

雑誌の公式サイトは、出版社のサイトの下層ページという位置づけなのか
「このサイトは一体だれが何度も見に来るんだろう」と思うサイト作りのところが多いように感じます。

また、新刊が発行された後に、数ページだけとか、雑誌の目次だけをちょろっとアップするというような
雑誌を買ってもらいたい感が出ているサイトはどうなんだろうと思うわけです。
ユーザー/読者の流れは、「ウェブサイト→雑誌」より「雑誌→ウェブサイト」だと思いますし
オンラインでそのページを見たから、オフラインで買うという人は少ない気もします。
(テレビCMですら、「続きはウェブで」の時代です。)

もちろん、「Vogue」などの海外のファッション雑誌などのウェブサイトはいろいろ更新もしていますし、
きちんと動いている(日々更新されている)ので、すべての雑誌がそうと言うわけではないですが
日本だけで販売してる雑誌のサイトの多くが、そういう感じです。

ひどい言い方をすると、中には、とりあえず何か(コンテンツを)アップしておけ的な
「これって中小企業のサイトよりサイトに戻ってくる人いないのでは…」と思う
どうでもいい(←言い過ぎ)コンテンツが多い気がします。

広告主の支払う費用(広告費)と効果

今までファッション雑誌を買ったことのある人は、思い出してみてください。
600円から1000円近く出して買った雑誌を買ってから、捨てるまで実際に何度見ますか?
大体が2-3回ざっと見て、終わりじゃないですか?
あとは、ピンポイントで、何かあったときに該当する記事を探す程度。

そこで、
ここからは広告を出す方の気持ちになって考えて下さい。

例えば、毎月に10万部を発行していると言われている(←「発刊=作ってる」だけです。在庫も含めますし、すべてが売れてるわけではないですからね)雑誌があるとします。

そして、その雑誌は、
基本的に上に書いたような読み方をする人が多く、さっと見られて終わりですよね?

今までは、雑誌しかなかったのでいうなれば、上の食パンの話の例と同じです。
しかし、インターネットでファッションに関心を持つユーザーを持つ他の媒体というものが登場してきた今です。

ショッピングサイトなどウェブサイトに来てほしい広告主が、
実際に、雑誌とウェブサイトとに、全く同じ数の人が来たとすれば
もし、広告主の最終的な目的が「自サイト(販売サイト/決済ページなど)への誘導」の場合は
多くサイトに流されるのは、ウェブサイトという媒体なんじゃないでしょうか?

たとえば、ページビューが月に100万PVくらいあるファッション系ウェブサイトがあったとします。
そうなると単純に計算すると出稿した広告が100万回表示されるわけです。
雑誌でいえば、広告を載せたページが100万回開かれたことになります。
(そのページを実際に1万人が100回開くなり、10万人が10回開いたということです。)

もちろん、ここで「広告の質」という問題が出てきます。
雑誌の方が見せ方や大きさなど、ウェブサイトのバナーなどに比べると
広告の見た目の質は、もし静止画像で比較するなら大きな差があります。

しかし、ウェブサイトであれば動画を載せてくれるところもありますし(紙媒体では不可能)、
タイアップして記事を出すということをすれば、
雑誌とほぼ同様の質(ページ一部でなくメインコンテンツ)になる可能性も出てきます。

何より、目的の広告主のサイトへは、「ポチッ」とクリック一つでやって来てくれます。

基本的に、そこから売り上げが生まれるかどうかは
その先の広告主のサイト次第です。

広告主の目的が・・・

①ブランドイメージの定着であれば、まだ紙媒体の持つ見た目の美しさは魅力的で良いのかもしれません。
ユーザーのパソコン(ブラウザ)環境で変わる色の誤差も、紙媒体に出力すれば大丈夫でしょうし。
しかし、それも実際に目にする読者数(厳密に言えば、実際に見る「目に入る」回数)を考慮にいれなければということです。

②目的のサイトへの誘導であれば、上記の理由からウェブサイトに軍配があがるはずです。

(私的)提案

辛口なことを言いましたが
(というか、ここまで読まずに、呆れて(怒って)、この記事を読むのをやめた人も多いかもですが…)
ここからが一番言いたいこと。

ここまで書くと
じゃ、諦めろと言ってるように聞こえるかもしれませんが
そんなことは言ってません。

雑誌は、早くウェブに進出したらいいんです。

ここで、最初の(仮想の)上司から質問への答えの話に戻ると
「雑誌と言う紙媒体主体の考えではダメだと思います」というのは、
有料の紙媒体での集客は難しいということです。

ウェブを主体として、雑誌はウェブサイトへ流すための強力な紙媒体の一つと考えればいいのではと思います。
仕事的な言い方をすると、雑誌からウェブへと、お客様の引き継ぎをしてもらう感じです。

加えて、下記の①~③のどれか、もしくは、すべてを提案すると思います。

①ウェブに人をまわす(既存の人を回すなり、増員や、そっち系の人を雇う)
②現在の囲い込んでいるブロガーがいるなら、本気で雑誌の媒体として注力(指導?)する。
③資金を割いて、すでにある有名なサイト(ブログ)を取り込む(企業でいえばM&Aみたいな感じ)もしくは彼らと組む。

特に、②に関しては、
ファッションとあまり関係ない記事だったり、読んでる人いるのだろうかと思う記事や、
ひどい場合、部活で籍だけ置いてる幽霊部員みたいになってることが多々あります(水増し部員)。
(大体、自分のブログを前から持ってる人は、籍だけ入れて、普段は自分のブログの方で更新していますし。)

基本的には、
やるなら、まだ雑誌として生き残れる予算がある今のうちにすべきかと。
やるなら早くしましょう。
でないと、雑誌の廃刊で「さようなら」となれば、それこそもうおしまいですし、
何より、最後までその雑誌を読んでくれていた読者が可愛そうです。

最後に

考えてみると、「カメラのアナログからデジタルへの移行時」と同じです。

デジカメが出てきた当初も、数年はアナログ(フィルム)で撮影していた人も多くいました。
アナログカメラ関連の会社はデジタルに客を取られまいと、デジタルに対抗してアナログの強化をしました。

しかし、結果的にコンパクトカメラや携帯のカメラ機能の普及と共に、どうなったかはご存知の通りです。
デジタルに転換することを躊躇い、アナログにこだわったカメラやフィルム、街の写真屋さん、現像屋さんの多くが衰退しました。

それと同じです。
今はどちらも生きている状態ですが、
5年後にユーザーを抱えているのはどういった媒体かを考えてみるのもいいかもしれません。

って、こんなこと書いて
本気で出版社大手がブロガー翻訳に参入してきて困るのは、
ふぁろすのようなサイトかもしれませんが…

(ま、環境に適応できなかった大型恐竜は絶滅して、小さな哺乳類など生物が生き残った末、その中の人間がこうやって地球で幅を利かせてるんですが。)




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