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日本だけで通じる“世界共通”のファッション英語


「ブルゾン」、「サロペット」、「ジレ」

この3つ、何語かわかりますか?
聞くくらいなので、英語ではありません。

これは、すべてフランス語です。

雑誌を読んでいて、
ふと最近、フランス語のファッション用語が増えてきてるんじゃないかと思い、
今回は、その弊害なども含め、思ったことをまとめてみようと。

ファッション誌で使われる和製英語

日本では、
「英語」、「和製英語(勝手に日本人が作った英語)」、「その他の外国語」を
すべてそれっぽくカタカナで表記するので、
ファッションブロガーの英語を日本語に翻訳している仕事柄か
「これって英語?」と疑問に思う(違和感を持つ)ことがあります。

中には「Japanglish(ジャパングリッシュ:ジャパニーズとイングリッシュの造語)」と呼ばれるものもあります。

和製英語の例としてよく挙げられるのが、
私も専門学校時代に英語の先生に教わって初めて知った「ホッチキス」。

これは、日本人が勝手に作った英語っぽい日本語です。
英語では「stapler(ステイプラー)」と言います。
海外でホッチキスと言っても、そんな言葉は英語圏に存在しないので(当たり前ですが)通じません。

そして、日本のファッションに関連した和製英語といえば、「スタジャン」。
きっと、スタジアム・ジャンパーを略したものだと思いますが
英語だと、「varsity jacket(バーシティー・ジャケット)」です。
ちなみに、英語でのJumper(ジャンパー)は日本のようにジャケットのことを指すのではなく、
Tシャツやシャツなどの上に着るもの(セーターなど)のことです。
(イギリス英語でジャンパーと、アメリカ英語や日本でのセーターは同じとも言われています。)

ワンピースもある意味で和製英語のようなもので、英語では「dress(ドレス)」です。

あと、一応英語圏で使われる言葉なのにもかかわらず
日本人が勝手に意味を勘違いして使っているものもあります。
その例が「スウェット(sweat)」です。
雑誌やユニクロでは「スウェット」と表記してあったり、
違う雑誌では「スエット」と表記してあったりします。

この日本でよく言う「スウェット」は、英語では、sweatshirt(スウェットシャツ)です。
スウェットではなく、スウェットシャツです。

スウェット(sweat)だけだと、
単に名詞では「汗」、動詞では「汗をかく」です。

下に穿くのは、スウェットパンツ(Sweatpants)です。
イギリスやオーストラリア、ニュージーランドではジョギングボトムスや、トラックパンツ等とも言います。

そういったことからもわかるように、英語のスウェットシャツは、
汗をかくような運動をするときに着る服(ジョギングや競技場のトラックも同じ)だから、
スウェットシャツなわけです。
汗(スウェット)素材のシャツだから、スウェットシャツなのではありません。

あと、日本語のトレーナー(trainer)。
スウェットと同じように使われますが、英語でトレーナーは単に「調教師」です。
イギリス英語では、「trainer」は、「運動用シューズ」のことです。

なので、「トレーナーを着て寝る」なんてことは、あり得ないわけです。

ファッション誌で使われるフランス語

そして、今回最初に述べたフランス語。

サロペット(salopette)は、フランス語です。
英語では、jumpsuit(ジャンプスーツ)であったり、overall(オーバーオール)などと言います。

詳しくは、以前「英語のジャンプスーツ(a jumpsuit)、プレイスーツ(a playsuit)、オールインワン(an all-in-one)、オーバーオール(an overall)、ロンパー(a romper)の違い」で書いています。

もしかしたら通じるのかもしれませんが、
もう7000記事以上翻訳していてブロガーが、「サロペット」と言う言葉を使っているのを見たことがありませんし、
実際に、英語を話す国に行って「サロペット」と英語っぽく言っても「?」となるかもしれません。

同じように、
「ジレ(gilet)」もフランス語です。
「袖のない、シャツなどの上に着る服」を指す言葉で
英語では、ウエストコート(waistcoat)やベスト(vest)などです。
※和製英語では、昔懐かしい「チョッキ」です。

「ブルゾン(blouson)」も元はフランス語です。
英語では、bomberJacket(ボンバージャケット/ボマージャケット)や
もしくは、flight jacket(フライトジャケット)とも言います。
空軍が爆撃(Bomber)するときに着ていた服です。
フライトジャケットも同じく空に飛び立つときに着ていた服の意味です。

英語じゃないカタカナの弊害

雑誌にカタカナで書いてあるから「英語」だと思っている言葉が
実は英語ではなく「日本語(カタカナ語)」だったり、
日本で勝手に勘違いされて伝わった英語(もともとの意味を取り違えているもの)だったり、
はたまた、英語じゃなく他の言語(フランス語など)だったりするということです。

日本人がアメリカなどに行って買い物をするときを想像してもらうとわかるかもしれませんが
今回は、逆に同じ状況で外国人が、日本に来たときを想像してみて下さい。

例えば、アメリカ人が日本にやってきて、ズボンを買いたいときに
お店の店員に、頑張って知っている日本語を使って、
「ズボンはどこですか?」と聞かずに、
「パジ(韓国語で「ズボン」)はどこですか?」と聞くようなものです。

言ってる本人は日本語だと思っているので
何度も言い方を変えて「パージ?」「パジ?」「パッジ?」と言うのですが、
本当はそれが日本語じゃないので、日本の店員に通じません。
そして、通じないので、「私の発音が悪いのかな…」と悩むわけです。

まとめ

「ファッション」は、
基本的に新しいものへと移り変わっていくことが醍醐味(?)で
言うなれば、今のものや同じものは、「過去(=ダサい)」となる考え方でまわっている気がします。
(数十年前の古過ぎるものが、今度は良かったりするのでよくわかりませんが。)

なので、情報を流す(発信する)側からすると
「モノが同じでも、言い方を変えたらイケるよね」とかになるのではと、
勝手に、ファッション業界に詳しくない私は思ったわけです。

ただ、言い方を変えて、
この島国でしか使われない英語っぽいカタカナ語を流通させるのはどうなのかと思います。

3年ほど前に、日本に帰ってきたときに
東京で、ショップの店員が、「このジレ、今人気なんですよ」と
服を着たボディ(マネキン)を見ながら、後ろから話しかけられたことがあります。

「ジレ」がどのアイテムのことを指しているのかわからず
「ジレ?ジレってなんですか?」と聞いたら
「あ、この羽織ってるブラックのがです。ベストみたいなものですね。」と言われたのを今でも覚えています。
今思うと、店員も自分が今説明している言葉は「フランス語」だということは知らなかったんじゃないかと思いますし
あれは、ベストみたいなものではなく、ベストです

どうせ新しい言葉を使うなら、
そして、どうせファッションアイテムを、カタカナにするのなら
使える英語をカタカナにしてもらいたいものです。

オマケ

サロペットの話で、ちょっとしたこぼれ話ですが
設備工をしている友人と、女の子がどういう服を着てたら可愛いという話をしていた時に
「あの、アラレちゃんが着てたやつとか着てる子は、俺無理かなぁ。前にアラレちゃんみたいなメガネかけてる子とかおったけど」と言ってました。

「オーバーオールのこと?」と言うと
「あ、あれ、名前あるん?つなぎってほどでもないけど、ジーパンと上のがくっついたみたいなやつやで?」
と言ってました。

たぶん大半の男性は基本そういう感じだと思います。
私もブロガーの翻訳をして、ブロガーたちが着ているのをいろいろ見ていなければ、
同じ考えで同じ事を言っていたはず。




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